ハリウッド俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏がロシア国民に反戦を呼びかける動画が、ロシアのソーシャルメディアで話題になっている。
シュワルツェネッガー氏は17日、ロシア語の字幕付きの動画を公開。ウクライナ侵攻についてロシア国民は、事実と異なる情報を政府から与えられていると警告した。
さらに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に向かって、「この戦争はあなたが始めたものだ。だから、あなたはこの戦争を止められる」と語りかけている。
シュワルツェネッガー氏に対し、ウクライナ侵攻に反対するロシア人の間から、称賛の声が上がっている。
「ロシア政府が国民にうそ」
ウクライナでの戦争について、ロシアはロシア語を話すウクライナ人を守るための「特別軍事作戦」だと一貫して主張している。
しかしシュワルツェネッガー氏は、ウクライナの「非ナチス化」が作戦の目的だと言うロシア政府は、ロシア国民にうそをついていると動画で述べた。
戦争を始めたのはウクライナではなく、「クレムリンの権力者たち」だとも指摘した。
シュワルツェネッガー氏の動画は日本時間19日午後1時半時点で39万4000回リツイートされている。
同氏のアカウントは、ロシア政府のロシア語と英語の公式ツイッターアカウントがフォローしている数少ないアカウントの1つ。
「無意味な戦争の犠牲に」
「私は今日、皆さんにお話ししたいことがあります。世界で起きていることが、皆さんの耳に入らないよう隠されているからです。皆さんが知っておくべき、恐ろしいことが」と、シュワルツェネッガー氏は、ロシア人に語りかけた。
「ウクライナはこの戦争を始めていないし、民族主義者やナチスが始めたわけでもない」と、シュワルツェネッガー氏は述べ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がユダヤ系であることにも触れた。「これはロシア国民の戦争ではない」。
元カリフォルニア州知事のシュワルツェネッガー氏は、オーストリア生まれ。ボディビルの元世界チャンピオンで、主演した1988年の米映画「Red Heat(邦題:レッドブル)は米映画としては初めて、モスクワの赤の広場で撮影が行われた。
シュワルツェネッガー氏は動画の中でロシア国民に対する愛情を語ったほか、少年時代に、1960年ローマ五輪と1964年東京五輪でメダルを獲得した重量挙げのユーリ・ヴラソフ選手(ソ連代表として出場)に影響を受けたと明かした。
また、第2次世界大戦中にロシア・サンクトペテルブルク(当時はレニングラード)を攻撃したナチスの一員だった父親についても語っている。父親は戦闘中に負った傷の痛みと、ナチスの戦争に加わったことへの罪悪感にまみれ、「打ちひしがれて」帰ってきたという。
「ロシアの人々の強さと心は、いつも私にインスピレーションを与えてくれました」とシュワルツェネッガー氏は述べた。「だからウクライナ戦争の真実を語らせてほしい」。続けて、「これは違法な戦争です。全世界から非難されている無意味な戦争のために、あなた方の命や手足、未来が犠牲になっている」と語った。
https://www.bbc.com/japanese/6080390...
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