これは極度の弱気シナリオであるが『ヨーロッパの自動車産業は新しい世界に対応できるような構造になっていない』という話が囁かれている。彼らは旧式の自動車メーカーで、旧式の自動車を製造しており、旧式の構造をしているがゆえに新しいEV時代に適応することができないというものだ。
どうしてこのような見解があるのかは投資家のデイビッド・ガルブレイス氏がツイッターで説明している。
「ICE(内燃機関)車は工業時代の製品だ。
その利益のほとんどは部品の調達から製造から組み立てまで、さらには販売後のディーラーによる長期にわたる部品のメンテナンスまでを含めた『自動車ブランドを取り巻くエコシステム』から生れている」
「EVはデジタル時代の製品だ。
EVの利益はバッテリーとソフトウェアから生まれる。そしてバッテリーはアジアがサプライチェーン全体を管理しており、ソフトウェアはアジアと米国がサプライチェーンを管理している。そこにヨーロッパの姿はない」
「またEVはICEと比べ構造が遥かにシンプルであるためディーラーが依存しているメンテナンスモデルが機能しない。デジタル時代の製造業は既存のものとは全く異なり、製造モデルの完全な再構築が必要となるのだ。しかし既存の企業がそれを達成するのは非常に困難だろう」
さらに追い打ちをかけているのが営業利益率の急落だ。8月1日発表の第2四半期の決算によると今年1~6月のVWブランドの営業利益率はわずか2.3%だった。
今週末のガーディアン紙の報道によると、フォルクスワーゲンのアルノ・アントリッツ財務部長は年間販売台数が約50万台不足しており、これは工場2台分の生産台数に相当すると語ったという。
「これは当社の製品や業績の悪さによるものではない。単に市場がもう存在しないのだ」
またヨーロッパ(特にドイツ)の自動車メーカーはこれまで順調だった中国史上でも苦戦し始めている。今や中国で成功している企業はテスラかBYDのような国産EVメーカーだけだ。
悪い材料はまだまだある。
2025年からEUで販売される新車のCO2平均排出量の上限が2024年の116グラム/キロメートルから94グラム/キロメートルに引き下げられる。そして自動車メーカーがCO2制限を超えた場合は制裁金が課される予定なのだが、その規模が数百万ドルから数十億ドルになる可能性があるのだ。
これは新基準の排ガス規制がEV普及の後押しになると考えていた欧州議会の完全な誤算だ。EVの普及ペースは当初の想定よりも遅い、それどころかここ最近は需要が低迷している。
つまりこのままだとEUの自動車メーカーは制裁金を支払って損失を被るか、ガソリン車の生産を減らしてやはり損失を被るかのどちらかを迫られるのだ。
これらすべての情報を見るとヨーロッパの自動車メーカーが窮地に陥っているという結論を出さずにはいられない。EUに選択肢が残っていないわけではないが、それらはいずれも難しい選択になるだろう。(英語)
https://www.theautopian.com/how-screwed-is-the-european-ca...
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