中国中部湖北省宜昌の長江流域にある三峡ダムの決壊が懸念されている。ナイル川、アマゾン川に次ぐ世界第三位の長さをほこる長江の流域には中国の人口の3分の1にあたる4億人が生活しており、ダムが決壊することになれば住民の被害も甚大となる恐れがある。
世界第二の経済大国でありながら国内にさまざまな問題を抱える中国と、今後、諸外国はどのように向き合っていくべきなのか、フランスの歴史家エドゥアール・ユッソンが仏オンラインメディア「アトランティコ」のインタビューに答え、提言をおこなった。
仏紙「フィガロ」は7月20日、「AFP」通信の配信記事をもとに「中国中部と東部は6月から降り続く豪雨と洪水で、公式の総計によれば少なくとも140人の死者・行方不明者を出す被害を受けている」と、豪雨と洪水の被害を伝えた。
同紙は7月13日にも「AFP」通信の配信記事をもとに今年の豪雨では「2万8000軒の住宅と3800万人の住民が程度の差こそあれ、被害を受けた」と被害の状況を報じている。
「ル・モンド」紙は6月25日に豪雨と洪水の被害を報じる記事の中で「中国メディアがこの災害を最小限にしか報道しない事実は、この問題がセンシティブであることを示している」と指摘した。
こうした中、フランスのオンライン右派メディア「アトランティコ」は、ドイツ史および欧州史を専門とする歴史家エドゥアール・ユッソンへのインタビューをおこない、「三峡ダム:我々と中国が対立する新冷戦で取るべき戦略をダムが指し示している」という記事を掲載した。
インタビューではまず、三峡ダムを中国共産党体制の脆弱性を示す存在ととらえ、こうした脆弱性を抱える中国共産党打倒の戦略について、質問が投げかけられた。
「12年前に“1万年もつ”として建設された中国の三峡ダムで、その脆弱性を示す数多くの兆候がすでに示されています。西洋民主主義国は、虫の息だった旧ソ連共産党を財政的・技術的圧力により打ち倒しました。我々が思っていた以上に脆弱な中国共産党に対しても、同じ戦略を用いることができるのでしょうか」
ユッソンによれば、この中国の危険性に最初に気づいた米国大統領がドナルド・トランプだ。
「彼はますます多くの雇用が失われ、中国に多くのお金が流れ、新技術が移転されていくことで、米国社会がゆっくりと食い荒らされ、魂を失いつつあることを理解しました。トランプ氏はまた、中国が思った以上に脆弱であることも、非常に確かな本能で理解しました」
「長江の三峡ダムは共産主義政権の強権主義の典型です。何十万人もの人々が建設のために募集され、少なくとも100万人が移住し、今日では数百万人の人々がダムの上流と下流で干ばつの影響を受けています。政権が人命を軽視している国で、人命と資本がはなはだしく浪費されているのです」
ユッソンによれば、洪水と同じく中国社会を危機に陥れた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、三峡ダムと同様に共産主義体制のほころびを表しているものだという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/24e37d65b372773caaf8a...
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