スマートフォンや電気自動車(EV)の普及に伴い、リチウムイオンバッテリーの原材料の一つ、コバルトの需要が急
速に伸びている。スマホ1台に約8グラム含まれるというコバルト。世界生産の約7割を占めるコンゴ民主共和国では、生
産能力を高めるための工事が急ピッチで進んでいた。
同国南東部コルウェジ郊外にあるシャバラ鉱山を6月に訪れると、幅数百メートル、最深85メートルの巨大なすり鉢状
の大穴が、数千人の男たちでびっしりと埋め尽くされていた。数千人の話し声と、無数の槌音(つちおと)が合わさり、
会話をするのが難しくなるほどけたたましい。
同じくコルウェジ郊外にあるムトシ鉱山では、鉱石の精錬所や貯蔵庫の建設が始まっていた。
新たな精錬所では、銅の地金や水酸化コバルトを生産する計画だ。鉱山を運営するシェマフ社のダノン・プングウェ
氏は「2019年にコバルト価格が暴落し、その後のコロナ禍で計画は一時頓挫したが、世界的なEVやスマートフォンの需
要の高まりを受けて再開した」と語る。
実際、脱炭素社会を目指す世界的な潮流もあり、EVの販売は好調だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年
の世界での販売台数は、前年の倍を上回る約660万台。最も売れる場合の試算では、30年には4500万台を超えるとも予測
している。コバルトへの需要も今後一層高まりそうで、世界銀行グループは電池などエネルギー技術系のコバルト需要が
50年には18年比で4・6倍に増加すると予測する。
一方で、経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、コンゴ民のコバルト採掘の2~3割は、個人や小さなグループ
による手掘りが占める。
コルウェジの住宅街を訪れると、宅地に地下トンネルが掘られ、Tシャツ姿の男たちがヘルメットも着けずに素手で鉱
石を運び出していた。トンネルは崩落しやすく、毎年少なくとも数十人が各地で犠牲になっている。また、手掘り採掘
現場は非合法な場合が多く、児童労働の温床になっているとの指摘もある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f2ea58cb3ab91e5543674...
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