コロナの影響でアメリカの映画館の苦境が続いている。観客動員が少ないことを理由にスタジオが大作の公開を控え、
話題作が提供されないために劇場は動員を増やすことができないという負のループが続いているためだ。だが、コンテ
ンツ不足の米興行界において日本のアニメが救世主となっていると、米紙「ワシントン・ポスト」が報じている。
クランチロールの快進撃
クリストファー・ノーランも、トム・クルーズも、そしてニコール・キッドマンも、映画館を救うためにそれぞれの役
割を果たしている。だが、どんなスーパーヒーロー・チームにも意外なメンバーが必要だ。そして映画体験を守ろうと
する動きのなかで、アニメ配給会社「クランチロール」が予想外の健闘を見せている。
クランチロールの成功は、苦境にあえぐ映画業界にとって歓迎すべき朗報だ。加えて、現代のポップカルチャー経済に
おける、「数こそ少ないが熱意では上回る観客の力」について、多くを物語る出来事でもある。
クランチロールは、インディ系の人気映画会社A24のような数々の輝かしい業績は得られないだろう(A24は『Everythi
ng Everywhere All at Once(原題)』、『エクス・マキナ』、『ウィッチ』といった批評家好みの──個人的に
も好みである──作品を制作している)。
だが、2021年にソニーがワーナー・ブラザーズから買収したアニメ専門の配給・ストリーミングサービス会社「クラン
チロール」は、今年、同じくアニメ制作を手がける「ファニメーション」と統合し、アニメ映画配給業界で突出した存
在となった。
日本のカルチャー商品は、米国の消費者、とくに若者層のあいだで、急速に普及している。マンガの売上は、2021年か
ら2022年にかけて、およそ3倍に増加した。日本のアニメ制作会社はその流れに乗じて、人気マンガのファン向けに、
同作品の映画やテレビ番組を提供している。さらに、英語に吹き替えやすいアニメ作品が、日本から途切れなく輸入さ
れている。
とはいえ、人気アニメシリーズのなかには、何十年も前からアメリカで人気を博している作品もある。クランチロール
の最新作『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』──前作はあまりの人気ぶりに、幼い子供には暴力的すぎるのでは
ないかと、保護者のあいだでモラル・パニックを引き起こした──の成功を例に考えてみよう。
同作品は2週間前の週末に2124万ドル(約31億円)という驚くほど快調なオープニング興行収入を記録し、この数字に
より、北米で歴代9位の興行収入を記録したA24の作品と並び、『ディザスター・アーティスト』のすぐ前に潜り込んだ。
8月29日までの累計興行収入は3130万ドル(約45.5億円)となり、ランキング5位につけている。
クランチロールとファニメーションは、こうした「サプライズ」ヒット作品を生み出す技術を確立しており、一般の
消費者が聞いたこともないような作品群を、稼ぎ頭へと押し上げている。
3月に公開された『劇場版 呪術廻戦0』は……続く
https://news.yahoo.co.jp/articles/1ec88980f5a0b4d3a3a03...
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