「(汚染水発言は)事実を述べたに過ぎない」
9月1日、野村哲郎農水相が東京電力福島第1原発の処理水について「汚染水」と発言し謝罪したことを受け、中国外務省
の汪文斌(おうぶんひん)報道官は、冒頭のとおり皮肉った。
「中国政府は、これまで頑なに処理水を『核汚染水』と呼び、海への放出は『最悪の環境破壊だ』と攻撃してきました。8
月24日に放出が開始されると、日本産水産物の全面禁輸まで実施。
こうした “反処理水” の運動は中国人民の間でも広がり、福島県内の飲食店や中央省庁などに対し、中国語で抗議をま
くしたてる “イタ電” が激増しています」(国際ジャーナリスト)
欧米諸国や韓国、東南アジアの冷静な対応と比べ、異常なほどの中国による “処理水バッシング”。ところが……。
「8月29日の香港の『スシロー旺角店』は、入店待ちの70人の大行列ができていましたよ。お客の多くは、若いカップルで
す」
と首をかしげるのは、香港在住のジャーナリスト・角脇久志氏だ。そこで本誌は、処理水放出から数日後の日本食店の様
子を取材。そこで浮かび上がってきたのは、中国共産党の “デマ” に踊らされない多くの人々の姿だった――。
スシローの常連客だという行列に並ぶ、20代の男性会社員に角脇氏が声をかけると、
「処理水放出のニュースを見ましたが、全然気にしていません。お客さんの数も以前と変わらないですね。日本に旅行した
際、“本家スシロー” を食べに行くほど好きなのでこれからも通います」
と、“スシロー愛” を爆発させた。さらに、同じテナント内で営業する「元気寿司」も満員だったという。
「ランチで行きましたが、子連れのお母さんが多かったです。香港では、日本の海産物について福島を含む10都県からの輸
入を禁止していますが、その旨が記載されたはり紙がポツリと掲示されているだけですね」(角脇氏)
一方、現地住民が経営する香港市民や中国人向けの高級日本料理店では、影響が出ているという。
「やはりお客さんは減少していますね。ほかの日本料理店では半減したお店もあるそうです。とくに生魚を使う刺身や寿司
を注文するお客さんが減っています。仕入れも大変です。ただ、2~3カ月で客足は戻ると思っています」(フロアマネージ
ャー)
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