■技術の応用可能も…残る課題
密猟対策としてサイのツノに放射性物質を注入する取り組みの詳細を見ていく。
これまで南アフリカでは、サイを密猟から守るために、サイのツノに薬としての効果がないことの周
知や取り締まりの強化など様々な取り組みを行ってきた。
また、AP通信によると、密猟者に狙われないように保護団体が事前にツノを定期的に切り落とす取
り組みも行っているという。
ちなみに、サイのツノは人間のツメのようなもので、神経はなく、切り落としてもまた生えてくるそ
うだ。ただ、ツノを失うことでサイの社会生活に支障をきたすリスクもあるという。
放射性物質をツノに注入する新たな取り組みの利点は、こうしたリスクを回避できるだけではない。
プロジェクトのホームページによると、空港や港などの交通の拠点には放射線の検出器が設置されて
いるため、放射性物質が注入されたツノは密輸がより困難になるという。
また、密輸者は放射性物質を所持していたことになり、テロなど従来より重い罪に問うことができる
というのだ。
この技術は、サイのツノ以外にも応用が可能だといい、今後、ゾウ(象牙)やセンザンコウ(ウロコ)
などに用いる研究が進められる予定だという。
一方で、密輸者は放射性物質の検出器があるような通常の輸送手段を避ける傾向にあるため、その効
果を疑問視する声や放射性物質を注入された動物が野生で死んだ場合の対応など、実用化までには解決
すべき問題がまだ残っているようだ。
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