■少し前にはゴルフボール大の黒い球体が漂着
この地域では、これらの球が姿を現す数カ月前にも、別の奇妙な漂着物が次々と打ち上げられていた。黒い色をしていたので「タールボール」と呼ばれるようになったゴルフボール大の塊は、2024年10月にシドニーのビーチに初めて流れ着き、数カ月にわたって漂着が続いた。
しかし検査の結果、これらの大きな球はタールでできているのではなく、人のふん便、娯楽用の麻薬、毛髪、有機フッ素化合物(PFAS)、軽油、食用油が含まれていることが判明した。
「タールボール」を分析したニューサウスウェールズ大学の化学教授ジョン・ビーヴェスは2024年11月、オーストラリアの報道機関ABCの取材に対し、「下水に存在するような、人間が生み出した廃棄物と一致している」と述べた。
「地域の下水システムから来たものなのか、船から排出されたものなのか、豪雨の際に下水が溢れて流れ出したものなのか、あるいは、私たちが知らないほかの原因によるものなのか、私にはわからない」とビーヴェスは説明した。「原油流出によるものでないことは確かだ。人間が生み出した廃棄物や汚染物質が、何らかの形で海に入り込んだのだ」
ビーヴェスによれば、これらの球は悪臭がひどく、分析するのは「非常に不快」だったという。
これらの球は、「ファットバーグ(fatberg)」に似ていると考えられた。ファットバーグとは、下水に蓄積する油脂や、非生分解性の廃棄物(ウェットティッシュ、生理用品など)が凝固した塊だ。ファットバーグは巨大化することがあり、ときには重さ数トン、長さ数十~数百メートルに達する。
■下水の問題か、船からの漂着物か、違法廃棄物か...
しかし、ニューサウスウェールズ州環境保護局が2024年12月に調査を打ち切ったため、これらの球の正確な起源は特定されず、地元の科学者たちは懸念を抱いていた。州環境保護局は1月第3週の声明で、「東部の郊外で回収された球を検査したが、比較対象がなかったため、発生源、または球が形成された原因を突き止めることはできなかった」と述べた。
そして今回、外見の異なる新たな球が発見されたことを受け、州環境保護局は現在、それらの出どころの調査を進めている。
州環境保護局の業務運営責任者アダム・ギリガンは、声明の中で次のように述べている。「原因不明の汚染の調査は非常に困難ではあるが、ほかの政府機関とも協力し、本日から現地調査を開始して、あらゆる可能性を探っていくつもりだ」
「(ニューサウスウェールズ州の水事業者)シドニー・ウォーターの下水システムや、豪雨の際に溢れた水といった陸上の原因のほか、クルーズ船やそのほかの船舶といった海上の原因が考えられる。また、(雨水を下水系とは別のシステムで送る)雨水管系に、産業廃棄物を違法に排出した可能性についても調査している」
「ノーザン・ビーチ・カウンシルで今週発見された球についても、州内のほかのビーチで発見された球と同様の化学分析を進めている」
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