日本とフィリピン両政府が、海上自衛隊の中古護衛艦を輸出する方向で一致していたことが、わかった。中古護衛
艦の輸出が実現すれば、初の事例になるとみられる。護衛艦の輸出を通じて比軍との相互運用性の向上を図り、一方
的な海洋進出を進める中国への抑止力・対処力を共同で強化していく狙いがある。
複数の日本政府関係者が明らかにした。中谷防衛相とギルベルト・テオドロ比国防相が6月上旬にシンガポールで
会談した際に中古護衛艦の輸出について確認した。輸出は海自の「あぶくま型」護衛艦6隻が想定されている。「あ
ぶくま型」は就役から30年以上が経過し、自衛隊員のなり手不足から省人化した新型艦に切り替える必要があるた
め、順次退役する方向となっていた。
関係者によると、今夏に比軍による「あぶくま型」の視察が予定され、主砲などの装備品や整備状況を確認するな
ど、輸出に向けた詰めの作業を行う見通しだ。
比軍は南シナ海で活動を活発化させる中国軍への対応に迫られており、艦船の数を確保することが急務となってい
る。英国際戦略研究所の「ミリタリー・バランス2025年版」によると、中国軍は駆逐艦などの水上戦闘艦を1
02隻保有しているのに対し、比軍はフリゲート艦2隻にとどまる。
防衛装備移転3原則の運用指針では、輸出できる装備品を救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定しており、
攻撃能力の高い護衛艦をそのまま輸出することはできない。ただ、日本が英国、イタリアと開発を進めている次期戦
闘機や、オーストラリアに開発を提案している「もがみ型」護衛艦をベースにした新型艦のように、共同開発の形を
取れば攻撃能力の高い装備品の輸出は可能となる。中古護衛艦もフィリピンが求める装備や通信設備を導入するなど
の仕様変更を行って共同開発とし、輸出を進める方向だ。将来的には新型護衛艦の輸出にもつなげたい考えだ。
日比は安全保障協力を深化させ、「準同盟国」関係の構築を進めており、4月の首脳会談では、自衛隊と比軍が食
料や燃料などを融通し合うことを可能とする物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向け、協議入りすることで
合意した。
続く→
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee325751b67f08cf48f8e...
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