イギリス・ロンドンのテムズ川岸、イースト・エンドにある中世の城塞、ロンドン塔で最大級の発掘プロジェクトが
進行中だ。現在、その中でも最も古いホワイト・タワー付近の聖ペテロ・アド・ヴィンキュラ王室礼拝堂の近くで進
められている調査により、20体以上の埋葬された遺骨が見つかった。これにより、塔の歴史に新たな1ページが書き加
えられようとしている。
ロンドン塔は11世紀にウィリアム征服王が要塞として建設した。その後のおよそ1000年の時の中で、塔は王宮や銀
行、動物園など様々な施設に姿を変えてきた。中でも最も有名なのは、14世紀以降の監獄・処刑場としての使用で、ヘ
ンリー8世の妻アン・ブーリンやトマス・モア、レディ・ジェーン・グレイといった人物たちが塔に投獄されて処刑さ
れ、この地に埋葬されている。現在はイギリス王室が所有する宮殿として、歴史的な宝物と共に一般公開されている。
アートネットの報道によると、今回の発掘プロジェクトは1520年に建てられた聖ペテロ・アド・ヴィンキュラ王室礼
拝堂にエレベーターを設置する工事計画により発足した。前述の20体以上の遺骨は、イギリス王室の未使用の宮殿を
管理する独立系慈善団体、ヒストリック・ロイヤル・パレス(HRP)とプリ・コンストラクト考古学会社との共同に
よる発掘調査により今年に入って見つかったもの。そのうち12世紀または13世紀初期のものと考えられる3体の1体は、
高い地位を意味する経帷子で包まれていた。また、別の1体は木炭が入った壺が副葬品に含まれており、これはノルマ
ン人の風習でイギリスでは前例がなく、外国から移動してきた人物の可能性があるという。
特に注目すべきは14世紀のものと思われる複数の遺骨で、急いで埋葬された形跡があることから、1348年にロンドン
を襲い人口の15パーセントが死亡したと推定される黒死病(腺ペスト)の犠牲者であったと考えられている。
これらの発見を受けて、HRPの学芸員であるアルフレッド・ホーキンスは、「教会を改装し、王室礼拝堂として使用し
たヘンリー3世の治世(13世紀)以前は、誰がこの建物を使用していたかについて明らかになっていません。その後礼
拝堂は住民が洗礼、結婚式、葬式を行う教区教会の役割も果たしていたと考えられます」と分析する。
そのほか、2019年の予備調査で見つかった中年女性と少年の遺体は、16世紀初頭に塔に在住していた人物だったこと
が判明した。彼らをカーディフ大学が法医学分析したところ、女性は大量の糖分を含む豊かな食事を摂取していた。
だが一方の少年は病気や栄養失調によるものと思われるストレスの期間を経験し、死亡する少し前に回復していたこ
とが分かった。
研究者たちは、二人はかつてそこに住んでいた王族や貴族たちではなく、塔で生活し働いていた一般人であると考え
ている。これについてHRPの学芸…続く→
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8166ba6aac3b14f0247c...
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