中国企業は、アプリケーションやサービスといったソフトウェア関連技術(AI、ビッグデータ、電子決済、Eコマースなど)で非常に強い競争力を持っていますが、
その一方で、半導体やハイエンド製造装置といったハードウェアの基幹技術には課題を抱えており、対外依存からの脱却を目指しています。
強み:ソフトウェアと応用技術
豊富なデータと巨大市場: 中国は膨大なインターネット人口と巨大な市場を背景に、AIやビッグデータ関連技術の研究開発と応用を加速させています。
急速な技術革新: Tencent(テンセント)やAlibaba(アリババ)、Baidu(バイドゥ)などの大手IT企業「BAT」が牽引し、スマートフォンを活用した電子決済(AlipayやWeChat Payなど)、Eコマース、シェアリングエコノミーといった分野で目覚ましい発展を遂げています。
政府の強力な支援: 中国政府は「中国製造2025」や「次世代人工知能発展計画」などの国家戦略に基づき、強力な産学官連携体制を構築し、長期的な視点での大規模な研究開発投資を可能にしています。
優秀な人材の集積: 深圳などのIT都市には優秀なエンジニアが集積し、最新の技術トレンドに精通した人材が豊富です。
課題:基幹技術とボトルネック
半導体(集積回路): 最大の課題の一つは半導体の国産化の遅れです。特に高性能なAI半導体や最先端の製造装置(露光装置など)は海外への依存度が高く、これが産業振興の大きなボトルネックとなっています。
コア技術の「自立自強」: 米国などによる技術輸出管理の強化といった経済安全保障上の懸念に対応するため、中国は重要データやコア技術の国内保存・管理を徹底し、「自立自強」(技術的自立)を強く意識しています。
基礎研究力: 応用技術の研究は進んでいますが、根幹となる基礎科学や特定の基幹技術においては、まだ世界的な影響力を持つ研究成果や独自開発の知的財産権の取得が課題となっています。
中国政府は、これらの「ボトルネック」技術の打破を目指し、国内のサプライチェーンに他国を依存させる「双循環」モデルを推進するなど、産業競争力の向上と経済安全保障の確保に注力しています。
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