JR各社やメーカーなどを会員とする国際高速鉄道協会(IHRA)の会議が10月7〜9日に開催された。3日間の会期中、
8日に福岡市内で行われたメイン会議では、世界各国の鉄道政策・鉄道事業のトップらが自国の高速鉄道プロジェク
トについてその進捗状況を説明した。メイン会議の様子は報道陣にも公開された。当事者から生の声を聞くことができ
る貴重な機会である。
オーストラリアとアメリカ「新幹線」は走るか
会議の最初のセッションでは、JR九州の青柳俊彦会長、木村敬熊本県知事、平田研長崎県知事らが、九州を例に新幹
線が都市開発にもたらす効果を説明した。鉄道など公共交通機関の駅を中心に街づくりを進める「公共交通指向型都市
開発(TOD)」にはどの国も関心が高い。
日本にはその実例が豊富だ。九州の最近の事例では熊本駅と長崎駅の周辺が新幹線開業で大きく変貌した。3氏がそれ
ぞれのプレゼンで開業前と開業後の写真を比較しながら説明すると、会場の参加者が感心している様子が会場の後方に
ある報道席からも実感できた。翌9日は参加者らが実際に長崎駅や熊本駅の周辺を視察する日程だった。
海外の展開についてはオーストラリア、タイ、イギリス、アメリカ、インド、インドネシア、台湾の状況についてそれ
ぞれの政策または事業担当者などから説明があった。その中から、オーストラリアとアメリカの内容について紹介す
る。会場での発表で足りない部分は公式発表済みの情報で補足した。
オーストラリアの高速鉄道について、豪鉄道安全推進財団のダニー・ブロード会長が説明を行った。オーストラリアで
は労働党政権時代の2011年にブリスベン―ニューカッスル―シドニー―キャンベラ―メルボルン間の全長1800kmを結ぶ
高速鉄道構想があったが、2013年に労働党から自由党に政権が交代し、在来線の高速化に方針転換された。しかし20
22年に再び労働党政権になると、高速鉄道計画が復活した。
高速鉄道庁は2024年12月、連邦政府に対して1800kmの中央部にあたるニューカッスル―シドニー間からプロジェクト
を着手する事業計画書を提出した。同区間は総延長194kmで、その内訳はトンネル区間が115km、橋梁・高架区間が38
km、地上区間が41kmとなっている。最高時速320kmで走行する高速列車を導入し、既存鉄道や高速道路で約3時間か
かっていた同区間を約60分で結ぶ。経済的にも採算が取れ、国家的にも極めて重要な投資であるという。
続く→
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